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Day by day in every way, we are getting better and better.

日々の大切なもの 大切なこと…

50代からは小さく 軽く 暮らしを楽しみます

おばあちゃんに会いに行こう

 

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                   夏のおやつ      抜けた炭酸で寒天

 

おばあちゃんに会いに

行きました

10年前に 倒れて以来

施設に います

 

20年前の喜寿祝いには

みんなが 仕事の調整をし

孫 ひ孫も 揃って

全員 26人

 

海の見えるお座敷を 貸し切り

海鮮焼きパーテイー

伯父たちが 挨拶をし

母たちから 記念品贈呈

 

おばあちゃんは

とても嬉しそうに

ありがとう ありがとうと

涙を流して 喜んでいました

 

つい この前のような気がするのに

 

 

施設に行くと

今日は 車椅子に乗って

おやつの時間でした

 

先ほど 少し ジュース飲んだんですが 

まだ 途中なんです

と 若い 男性の介護士さん

 

私は 半分残っていた

とろとろの りんごジュースを

スプーンで口に 運びました

大きな 口を開けて

おばあちゃんは 小さく口を動かしました

 

おばあちゃんは 

ずっと畑で野菜を作るのが好きでした

日焼けした顔に 真っ黒い手

たくさんの野菜を 

身体に いいんよ いいんよと

持たせてくれました

 

梅の時期には 梅エキス

何日もかけて 煮詰めて

子や孫達に 

 

手をかけて 作っていた甘酒は

誰にも できない味だったと母

 

 

3人目のひ孫が産まれる時は

色の白い きれいな こどもができる

と 十薬をせっせと 干して

お茶にしてくれました

 

手仕事が あんなにも 大好きだった

おばあちゃん

今は ひとりで 何もできない

 

思えば おばあちゃんは

悲しい 悲しい時を経て

今に至ります

 

三女の母の弟は

祖父母にとって 待望の男の子

成長するにつれ

人目を引くほど 男前で

勉強は 一番

学校では 人気者

父からもらったお小遣いを

火鉢から取り出し 姉たちに分けるほど

優しい子だったという

お腹が痛いという 息子に

村医者は 誤った治療をし

一晩のうち 亡くなりました

9歳でした

村長をしていた祖父は

医者を 全く 責めなかったけれど

村医者は 家族とともに夜逃げをしました

 

おばあちゃんは 来る日も来る日も

泣いて 村を 出たいと言ったそう

母は 学校から帰る時

今日は おかあちゃん 泣いていないといいな

と 毎日 思いながら 帰るけど

畑の隅で いつも 泣いていたそうです

毎晩 お骨を抱いて 寝ていた祖母が 

納骨したのは もう 何年も 後のこと  

 

おばあちゃん

おばあちゃん

おばあちゃんに ケンちゃんが会いに来てくれる時

おばあちゃんは 涙を流して 抱き上げるでしょう

 

ゆっくりと 時が刻まれている 

おばあちゃんの 時間は

少しずつ 近づいてくる

息子との 再会を 

楽しみに 待っている

 

おばあちゃんは もう 長い時間はいらない

 

 

外で 花を 見ることもない

雨が 降っても 気付かない

管理された 食事では 

糖尿病の祖母に おやつはない

 

背中に手を当て

白い手を さする

ピンク色のツヤツヤで

真っ白の おばあちゃんの顔は

とても きれいよ

私が そう言うと

おばあちゃんは 顔を上げて

かすかに 表情を変えました

 

おばあちゃんは 口から

りんごジュースを 吐きました

 

おばあちゃん 私が来ていること

わかってる・・・のね

もう ジュースを

ほしくなかったのに

飲んでくれたのね

 

また 来るね

おばあちゃんは じっと私たちを見て

それから ずっと目で追っているようでした

 

ありがとう ありがとうね

あの時と同じ 嬉しそうなおばあちゃんの声が

聞こえた気がしました